2月2日は「天保12年のシェイクスピア」のチケット発売日(東京公演・大阪公演とも)だった。
敬愛する井上ひさしの1974年の作。
それを,筧利夫・渡辺いっけい・羽野晶紀らを輩出した劇団☆新感線のいのうえひでのりが演出するというので,ぜひ観てみたいと思った。
しかし,発売開始からずっと電話をかけつづけたものの,買えず。
ここまでならどうってことはない。
発売開始のことも,30分前に偶然思い出した程度で,ベストを尽くしたとは言えないし。
しかし,その夜,Yahoo!オークションのサイトで「天保」で検索すると,200件を超える出品。
そして,いい日取りの観やすい席のチケットなど,元値7,500円なのに16,000円で落札されていた(もっとも,全体的にはやや供給過剰気味で,ずっと売り気配のまま値がつかないのもあったが)。
観ようと思ってた公演だけど,都合が悪くなってしまったから誰かに譲りたい。でも周りには観にいきそうな人はいない。
ネットのオークションは,そういうときに役立ってくれる。
しかし,観に行く気もないのに買って,高く転売するのは,迷惑だ。
何の価値も生み出していないから,転売差額を懐に入れる理由も何もない。
おかげで,通常ルートでチケットを手に入れるのがますます難しくなり,観たい人が観れなくなってしまっている。
どうにかしないといかん。
[To Top]そんな困った連中ではあるけれど,刑事罰の権限をもちだすのは行き過ぎだ。
朝日新聞の2002/01/22夕刊によると,警視庁は,ジブリ美術館のチケットを転売目的で購入した人を逮捕したという。
記事の全文は次のとおり。
「三鷹の森ジブリ美術館」(三鷹市立アニメーション美術館)のチケットを大量購入し,インターネットの競売サイトで転売したとして,警視庁は22日,東京都府中市**町*丁目,主婦△△○○容疑者(33)を都迷惑防止条例違反(不当な買い行為)の疑いで逮捕したと発表した。
△△容疑者は「小遣いがほしかった」と容疑を認めているという。
転売目的での購入は,たしかに迷惑だ。
しかし,東京都の迷惑防止条例(2001年に一部改正,強化された。新旧対照表はこちら)の目的は,「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活の平穏を保持すること」(同条例1条)だ。
恐喝や強要・強制わいせつとまでいえるかどうか微妙だが,それに近い悪質な迷惑行為を防止するためのものであるはず。
それを,上のような行為の取り締まりに適用するのは,まずいでしょう。
しかもその警察発表をそのまま住所・氏名入りで報道する新聞社。
ますますまずいでしょう。
この手の迷惑行為を防止するには,そんなことしても儲けられないようにするための手だてを打っていくべきだろう。
といっても,サッカーのワールドカップのような本人確認は,面倒すぎる。
だから,一番わかりやすいのは,イベントのチケットは券面額以下でしか売れない,ということを条例などで定め,オークションサイトがその条例に従った運用をすることだろう。
アメリカの Yahoo! Auctions のサイトでは,イベントチケットはあまり出品がない。
どうしてかな,と思って見ていくと,ガイドラインの中のイベントチケットの出品に関する説明のページに,かなり多くの州が上記のような内容の法をもっており,Yahoo! Auctions としてもそれに従っているらしいことが書いてあった。
東京都は,不当な拡大解釈をしないで,必要な条例を的確に制定すべきだ。
そして,Yahoo!オークションには,その制定を待たず,先取りして上のような運用を開始してほしいものなんだけどな。