DVDオーサリング

MPEG-2 ファイルが出来上がったら,オーサリングをして DVD-Video 形式のデータを作り,DVD-R などに書き込む。

[目次]


オーサリングソフトはどれがいいか

DVD-Video を作るには,MPEGファイルをDVD-Video 形式にするソフトが必要だ。この種のソフトをオーサリングソフトという。
オーサリングソフトには,シンプルな DVD しか作れないものから,凝ったメニュー画面を作ったり,一つのビデオの再生が終わったあとの動作を細かく指定できたりするものまで,さまざまだ。
シンプル系のソフトとしては,TMPGEnc DVD Author 1.5(以下,TDA)が使いやすく,また柔軟度も高いので,おすすめだ。オーサリングソフト選択のポイントの一つとして,「どんな場合に素材を再エンコードしないかがはっきりしていること」というのが挙げられる。せっかく最適な状態にエンコードした MPEG ファイルを,オーサリングのときに再エンコードされたのでは,画質が落ちてしまうし,時間も余計にかかって,ろくなもんじゃない。だから再エンコードされないようにしたいので,その条件が明示されているソフトを選ぶことが重要だ。TDA は,「どんな場合にも行わない」ということで,この条件がはっきりしている。

そのほか,DigiOn Author 2 Expressも良さそうに思い買って持っているが,今のところ TDAしか使っていない。Ulead MovieWriter 1.5 とか DVDit! LE 2.5 とかもオマケについてきたので使ってみたけど,どうもピンとこない。

TDA は,単体ダウンロード販売で 6,800 円。ドルビーデジタル(Dolby Digital)の AC-3 音声を生成できるプラグイン込みだと 8,800 円だ。
AC-3 機能拡張プラグインを使うにはインターネット経由による定期的なライセンス認証が必要となるので,これには賛否いろいろな意見が出されているが,この価格で AC-3 に対応したオーサリングソフトが手に入れられることは歓迎したい。

[2011年01月08日追記]
TMPGEnc DVD Author の最新版は,現在はTMPGEnc Authoring Works 4である。
ひどく重いソフトになってしまったが,使いやすさは変わらない。
Vector でMPGEnc Authoring Works 4を購入する



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TMPGEnc DVD Author 1.5 でのオーサリング

上に書いたように,私はほとんどの場合に TMPGEnc DVD Author 1.5(以下,TDA) を使ってオーサリングしているので,そのやり方しか書けない。それに,けっこう直観的に使えるので,やり方など書かなくてもよさそうなのだけれど,一応書いておく。

  1. DVD に入れるビデオ・オーディオの設定をする
    TDA を起動して,[新たなプロジェクト]ボタンをクリックすると,ソースの設定画面が表示される。
    [TMPGEnc DVD Author のソース設定画面]

    ソースの設定画面右上の[ファイルを追加]ボタンをクリックして,ビデオファイルを選択する。すると次のようなクリップの追加画面が表示される。
    ここでは,ビデオのみのファイル(*.m2v)を指定したので,それとセットになると判断されたオーディオファイル(*.wav)が入力音声ファイル名の欄に自動的に設定されている。
    [TMPGEnc DVD Author のクリップ情報画面]
  2. 不要部分のカット
    クリップの追加画面上の[チャプター・カット編集]ボタンをクリックすると,次のような画面が表示される。
    [TMPGEnc DVD Author でのカット編集画面]
    ここで,サムネイル画像(映画フィルムのようになっている連続画像)は,1コマが1つの GOP を表していて,サムネイルは,その GOP の先頭フレームの画像である。

    不要部分をカットするには,[開始フレームに設定]ボタンでカット開始位置を設定し,[終了フレームに設定]ボタンでカット終了位置を設定して,[カット]ボタンをクリックすればよい。
    この「開始フレーム」「終了フレーム」という言葉はちょっとわかりづらいのだが,範囲指定の開始フレーム・終了フレームだと理解すればよいだろう。
    範囲指定の基準線は選択しているフレームの前のラインだと考えればいい。画面でいえば,(1) のコマで[開始フレームに設定]を,(2) のコマで[終了フレームに設定]をすると,青く表示されている2つのコマが範囲指定される。つまり,カットを実行すれば,「開始フレーム」はカットされるが,「終了フレーム」はカットされない。

    開始・終了位置をリセットしたり,いったんカットを実行してしまった後にそれを取り消すには,[編集メニュー]ボタンをクリックする。

    ここで一つ注意することは,開始・終了位置はちょうど場面の切れ目に設定できるとは限らないということだ。
    上の図でカットを実行すると青い2つのコマがカットされると書いた。だから (1) のコマはカットされる。しかしこれと似たような画像は,その前から始まっているかもしれない。仮に,青い2つのコマがテレビの CM の場面だったとしよう。サムネイルを見ているかぎりこの2つにだけ CM が表示されているとしても,その2つをカットして CM を全部カットできた,となるとは限らないのだ。
    (1) のコマからサムネイルが CM になっているとしても,そこで[開始フレームに設定]ボタンを押す前に,巻き戻しボタンの左にある[前のフレーム]ボタンをクリックして,一つ前のコマの後ろの部分を表示させてみたほうがいい。そうしてもプレビュー画面に CM が表示されていたら,1つ前の GOP の途中で CM が始まっているということだ。この場合はそのコマもカットしないと,DVD-Video にして再生したときに,CM が一瞬表示されてしまうことになる。かといって,そのコマをカットすると,番組部分も終わりがほんの僅かカットされてしまうが,TDA を使う限りはどちらかを我慢するほかない。
    これがイヤならば,オーサリングの前の段階(ビデオ編集またはMPEG 編集の段階)で,不要部分をフレーム単位でカットしておくことだ。
  3. チャプターを打つ
    チャプターを打つには,大きく分けて3つの方法がある。
    1つは,上に書いたように範囲指定してカットすると,カット後の最初のフレーム((3) の GOP の先頭フレーム)に自動的にチャプターが打たれる。
    2つめは,コマを指定して,[現在のフレームをチャプターに追加]ボタンをクリックする方法。
    さらに,チャプターのリストの下にある[追加]ボタンをクリックすると,タイムコードを指定してチャプターを打ったり,一定間隔で機械的にチャプターを打ったりすることができる。
  4. トラックの設定をする
    チャプターも打ち終えてクリップの編集が終わったら,[OK]ボタンを押して編集内容を反映させ,ソースの設定画面に戻る。そして画面左にあるトラックの一覧上の[設定]ボタンをクリックすると,次のような画面が表示される。
    [TMPGEnc DVD Author でのトラック設定画面]
    ここでトラックの設定をする(トラックの設定は,ビデオ・オーディオの設定の前にやるべきことだと思うのだが,ファイルを一つ追加してからでないとフォーマット設定ができないので,この段階で行う)。

    まずトラック名を入力する。ここで入力した内容は,DVD のメニュー作成のとき,キャプションとして反映される。ただし,メニュー編集で変更した場合は,トラック名とキャプションは連動しない。

    ついで,音声フォーマットを変更する。
    音声ファイルとしてリニア PCM 形式のファイル(*.wav)を指定したため,画面ではそれが表示されている。このままだと音声部分にかなりの容量を割くことになるので,音声を圧縮するため,音声フォーマットを Dolby Digital (AC-3)に変更して,ビットレートを指定する。高音質側は 448 kbps まで指定できるが,普通のドラマなら,その半分くらいでも十分だろう。
  5. メニュー設定をする
    ソースの設定画面左にあるトラックの一覧上の[設定]ボタンをクリックすると,次のようなメニューの作成画面が表示される。
    [TMPGEnc DVD Author でのメニュー設定画面]
    メニューの作成画面の[メニュー表示の設定]ボタンをクリックして,メニュー表示について設定する。
    作成するメニュー(トップメニューだけか,トップメニューのほか各トラックのメニューも作るか,など)は,[全般]シートで指定する。
    メニュー上に表示するチャプターは,[チャプター表示]シートで指定する。
  6. メニュー画面のレイアウトを作る
    メニュー画面のレイアウトを作るには,メニューの作成画面の[メニューテーマの編集]ボタンをクリックする。
    メニュー作成については,TDA のヘルプがよくできているので,詳細省略。
  7. DVD-Video 形式のファイルを書き出す
    メインウィンドウの[書き出し]ボタンをクリックすると,次のような書き出し画面が表示される。
    [TMPGEnc DVD Author での書き出し画面]
    ここで,作成先フォルダを指定して[書き出し開始]ボタンをクリックすれば,DVD-Video 形式の ファイルの作成が開始する。指定したフォルダの下に「ボリュームXX」という名前のフォルダが作られ,その中に,DVD-Video 形式のデータが格納される。

    「ボリュームXX」というフォルダ名を別の名前にすることはできないが,[オプション]ボタンをクリックして環境設定画面を開くと,このフォルダ名の後ろにプロジェクト名を付けることができる。
    ただ「ボリュームXX」だけだと,何のデータだかわからなくなることがあるので,この設定変更はおすすめ。

    作成の所要時間は,作成する DVD-Video のデータ量や,音声部分を再エンコードするか否かによって違う。私の環境で,ほぼ1枚分ぴったりの量のサイズを作り,リニア PCM 形式のファイルから Dolby Digital (AC-3)にエンコードする場合の所要時間はだいたい 40 分。

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DVD-R などに書き込む

オーサリングの済んだ DVD-Video 形式のファイルを DVD-R/RW や DVD+R/RW に書き込めば,家庭用 DVD プレイヤーで鑑賞できる DVD-Video ディスクの出来上がりだ。
TMPGEnc DVD Author 1.5 は,他の多くの DVD オーサリングソフトと同様,現在では DVD の書き込み(ライティング)の機能も付属していて,DVD フォルダの書き出しが完了すると,ライティングソフト起動が促される。

ただ,私の環境ではこのライティングソフトはうまくドライブを認識してくれないので,DVD-R ドライブに付いてきた B's Recorder Gold 5 をそのまま使い続けている。

DVD-Video 形式になっている2つのフォルダ,VIDEO_TS と AUDIO_TS を,DVD メディアのルートディレクトリに書き込んで,完成となる。
ただし,DVD-R にライティングをした後で オーサリング時のミスなどが見つかると,メディアが1枚ムダになる。
それを避けるため,ライティングの前に,DVD 再生ソフトの IFO モード(PowerDVD での名称)で,出来上がった DVD フォルダを再生させてチェックしたほうがいいだろう。さらに慎重を期すときには,DVD-R へのライティング前に DVD-RW にライティングして,DVD プレイヤーでの再生状態をチェックする。

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