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編集したビデオから MPEG-2 ファイルを作る

AVI ファイルが出来上がったら,MPEG-2 ファイルにエンコードする。

[目次]


MPEG-2 にするソフトはどれがいいか

AVI ファイルを編集するための動画編集ソフトは,AVI ファイルばかりでなく,MPEG ファイルを生成する機能を持っているものも少なくない。その機能を使えば,AVI ファイルとして書き出すというステップが省略できる。
あるいは,DVD オーサリングソフトも,多くが MPEG エンコードの機能を持っている。
しかし,現状では,それらのソフトがもっている MPEG エンコードエンジンはあまり性能が良くない。AVI ファイルにしてから MPEG エンコード専用のソフトを使って MPEG ファイルを作成したほうが画質のいいものができるようだ。
現在,アマチュアユーザーが使うためのソフトとしては,TMPGEnc Plus 2.5CINEMA CRAFT ENCODER Basic (以下,CCE Basic) が双璧だろう。この2つは,たとえば『ビデオ SALON 』(玄光社)2003年5月号の記事「DVD オーサリングソフト選手権」でも,オーサリングソフトの MPEG エンコードエンジンとは画質において大きな差があるという評価が下されている。他のソフトの中には,4000 kbps 程度のビットレートで VBR を用いると破綻を起こすようなものもあるのだそうだ。

ただしこの2つの高性能エンコードソフトにも,それぞれ,以下の弱点がある。

TMPGEnc Plus 2.5
  1. 処理が遅い
  2. DV Type-1 の AVI ファイルを未サポート
CCE Basic
  1. 前処理ができない
  2. AVI ファイル専用(MPEGファイルを直接は処理できない)

TMPGEnc Plus 2.5 の処理の遅さは,たしかに,耐えられるか耐えられないかの境界線上にある。私の環境では,1時間の動画を 2-pass VBR でエンコードしようと思ったら,HALF D1 サイズ(352×480)で 7.5 時間,FULL D1 サイズ(720×480)となると 9.5 時間を覚悟しなければならない。もしノイズ除去などのフィルタ処理までかけるなら,さらに多くの時間が必要となる。
もう一つの弱点である DV Type-1 未サポートという点については,回避する方法がある。
「デジタルビデオカメラの映像を編集する >> ビデオ編集 >> ビデオファイルとして書き出す」参照。

他方,CCE Basic のほうの,前処理ができない点については,問題になる場合とならない場合とがある。
フィルタ処理などは私はほとんどしないので,それができないことはあまり問題ではない。しかし,リサイズができないのはけっこうつらい。フレームサイズが 352×480 や 352×240 の MPEG-2 ファイルが作りたいときには,そのような前処理をしたうえで CCE Basic にかける必要がある。そのような前処理をさせるのに適したソフトもあるようだけれど(AviSynth など),不便であることは確かだ。

だから結局は,両方買って,場合によって使い分けるしかないだろう。
私も,ずっと TMPGEnc Plus 2.5 を使っていたが,CCE Basic も試してみることにした(通常のダウンロード価格が 5,800円のところ,ちょうどうまいぐあいに,販売元のNOVACが「秋の夜長ビデオ編集キャンペーン」と題して,10/31〜12/26までのVectorプロレジでの価格を 4,980円にしていたので,2003年12月9日購入)

画質を比較しようと思い,TMPGEnc Plus 2.5 で 平均ビットレート 2,300 kbps,2-pass VBR でエンコードしてあったのと同じAVIファイルについて,CCE Basic で同じ指定でエンコードしてみた。

私の目では,このように低いビットレートでの画質は,なお TMPGEnc Plus 2.5 に軍配が上がるのではないか,と感じた。

それぞれの映像をキャプチャしたものをいちおう載せておく。
これで基本的に原寸。つまり,かなり遠くのほうに小さく写っている部分を切り取ったものである。
ただ,条件が全然統一できてないので,実は比較の意味はない。動画で確認したときの印象が少しは伝わるかと思って載せてみるだけだ。
というのは,TMPGEnc Plus 2.5 でのエンコードは,フレームサイズを HALF D1(352×480)にして行ってあったので,静止画キャプチャ後に横に拡大した。これに対し,CCE Basic でのエンコードは元データと同じ FULL D1(720×480)で行ったので(前述のとおり,CCE Basic ではサイズが固定),キャプチャしたそのままなのである。

[TMPGEnc Plusでエンコードした映像] [CCE Basicでエンコードした映像]
TMPGEnc Plusの映像 CCE Basicの映像

以上をまとめると,次のようになる。

なお,高速という点でいえば,ハードウェア・エンコードをさせるという手もある。
ハードウェア・エンコードは,通常,テレビ放送などを即時エンコードして CPU に渡すために使われるが,キャプチャボードによっては,AVI 形式のファイルを MPEG にエンコードするためにも使えるものがある。
たとえば,Canopus の MTV シリーズを使っているユーザーであれば,添付されてくる Canopus DV-MPEG Converterによって,DV形式(Type-1 も Type-2 もO.K.)のファイルを高速に MPEG エンコードできるのだ。
ただ,低ビットレートでの画質はやはり TMPGEnc Plus 2.5 のほうがいいような気がする。

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TMPGEnc Plus 2.5 でのエンコード

MPEG ファイルを作るときは,ビットレートやフレームサイズなどをエンコードのたびに指定することもできるが,一つの DVD-Video に収めることを予定している複数のMPEG ファイルを作るなら,最初にテンプレートを用意したほうが作業が簡単。
そこで,以下では,テンプレートを用意したうえで,プロジェクトウィザードを使ってそのテンプレートを指定し,最後にバッチエンコードする方法を紹介する。

TMPGEnc Plus 2.5 の メインウィンドウ
[TMPGEnc Plus の メインウィンドウ]

テンプレートを作る

  1. ビットレートを決める
    1枚の DVD-Video に何分の映像を収めるつもりかを考えて,ビットレートを決める。
    「DVD-Video にする >> DVD-Videoには何時間のビデオを入れられるか 」を参照。
  2. 元になる既存テンプレートを呼び出す
    メインウィンドウ右下の[ロード]ボタンをクリックして,既存のテンプレートのうち,作ろうとするテンプレートに一番近いものを呼び出す。
    既存テンプレートがどんなものなのかの説明は,プロジェクトウィザード(デフォルトでは,起動時に必ず表示される)の最初の画面に表示されている。
    テンプレートのファイルを指定して[OK]ボタンを押すと,メインウィンドウに戻る。一見何も変わっていないが,これで,指定した既存テンプレートが読み込まれた状態である。
  3. 必要な部分を変更する
    メインウィンドウ右下の[設定]ボタンをクリックして,設定画面を開き,必要な設定変更をする。
    背景がグレイになっている項目は,そのままでは変更できない。項目名のところをクリックすると,ロック解除コマンドが現れるので,それをクリックするとロックが解除され,変更可能になる。
    下の図は,サイズ の項目のロックを解除しようとしているところ。
    [TMPGEnc Plus の エンコード設定ウィンドウ]
  4. テンプレートを保存する
    設定を変更したら,設定画面の[OK]ボタンをクリックしてメインウィンドウに戻り,メインウィンドウ右下の[セーブ]ボタンをクリックして,テンプレートファイルに名前を付けて保存する。

プロジェクト内容の設定

テンプレートを用意したらプロジェクトウィザードでプロジェクトを設定する。

  1. プロジェクトウィザードを開始する
    メインウィンドウのメニューから[ファイル−プロジェクトウィザード]を選択して,起動する。
    [プロジェクトウィザードの画面−起動直後]
    追加して作成したテンプレートは,図のように,「その他」のグループに登録されているので,それを選択して[次へ]ボタンをクリックする。
  2. エンコード対象のファイルを指定する
    映像ファイルを[参照]ボタンをクリックして指定する。
    下の画面は,指定後のもの。
    [プロジェクトウィザードの画面−ソースファイルの選択]
    このあと,[次へ]ボタンをクリックするとフィルタ設定画面になるが,省略。
    さらにそのあと[次へ]ボタンをクリックするとビットレート設定の画面になる。ここにはテンプレートに従った設定がなされているので,そのままでさらに[次へ]ボタンをクリック。
  3. MPEG ファイルの保存先,エンコード開始方法を指定する
    保存先は,エンコード対象のファイルとは別のハードディスク上のフォルダを指定するのが速度面で有利。「はじめに >> 動画編集に使うパソコン >> ハードディスク」参照。
    また,下の画面では,映像と音声を別々のエレメンタリストリームに出力する にチェックが入っている。これは,音声を無圧縮のリニア PCM で出力する設定になっているテンプレートを指定したため,別々のファイルに出力しないといけないからである。
    [プロジェクトウィザードの画面−出力ファイルの指定]
  4. プロジェクトウィザードを終了する
    直ちにエンコードを開始する にチェックを付けて[OK]ボタンをクリックするとすぐにエンコードが始まる。

    複数のファイルを続けてエンコードさせたいときは,上の図のようにバッチエンコードのほうにチェックを付けて[OK]ボタンをクリックする。そうすると,引き続きの画面に戻って次のプロジェクトの指定を開始する状態になる。必要なだけプロジェクトを追加したら,[キャンセル]ボタンをクリックしてプロジェクトウィザードを終了する。

バッチエンコードを開始する

よく知られているように TMPGEnc Plus 2.5 は処理が遅い。
寝る前にエンコードを開始させて翌朝確認するとか,翌日の帰宅後に確認するとかという使い方をするしかないと割り切ったほうがいい。
そうすると,バッチエンコードをする場合が多いだろう。
「プロジェクト内容の設定」に書いた手順を実行すると,バッチエンコード処理をするリストに,設定したプロジェクトが登録されているので,それを実行すればよい。次のようにする。

  1. バッチエンコード画面を表示させる
    メインウィンドウのメニューから[ファイル−バッチエンコード]を選択するとバッチエンコード画面が表示される。
    [バッチエンコード画面]
  2. バッチエンコードするプロジェクトのリストを整理する
    上の画面を見ると,既にエンコードの終わったプロジェクトもリストに表示されている(上2つの,青いチェックマークが着いたプロジェクト)。これらはもうエンコードの必要がないので,選択して[削除]ボタンをクリックし,リストから除外する。
    リスト領域上で右クリックすると,上の画面のようなメニューが出るので,そこで 実行済みをすべて選択 を選択すると効率的に選択できる。
  3. バッチエンコードを開始する
    バッチエンコード画面の[実行]ボタンをクリックする。
    メインウィンドウに戻り,エンコードが開始されます。
    [バッチエンコード実行中の画面]
    図のように,エンコード終了後,シャットダウンするにチェックを入れると,処理終了後に Windows を終了し電源が切れるようになる。

    なお,図では,プレビュー画面部分が真っ黒になっている。これは,メインウィンドウで[設定−プレビューの設定]で[表示しない]にチェックを入れているため。プレビューなしのほうが,少しでも CPU の負担が軽いかと思って。
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CINEMA CRAFT ENCODER Basic でのエンコード

  [※ 準備中 ]








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