私は Let's note(CF-S21)を愛用していますが,これには標準ではCD-ROMドライブが付いていません。
OSの再インストールをしたいのですが,しかしそれだけのためにCD-ROMドライブを買うのはイヤでした。
そこで,フロッピーでMS-DOSを起動して,そこからネットワーク経由でデスクトップパソコンのCD-ROMドライブを利用して再セットアップができれば,と考え,参考になるサイトもあったので,そのようなフロッピーの作成をしました。
こういうのがあれば,OSの再インストールのほか,次のようなときにも使えそうです。
以下の説明は,Windows98がインストールされたLet's note(CF-S21)を使ってそのようなフロッピーを作るための方法です。
[目次]
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Let's note(CF-S21)にはLANアダプタが内蔵されていません。その代わり,PCカードスロットが2つ付いています。したがって,LANに接続するには PCMCIAカード型のLANカードを使用します。
ハードディスクにインストールされたOSをいっさい使わずに,LANカードでネットワーク接続したいわけですから,作成するフロッピーは,次のことができるものでなければなりません。
2つめの「PCMCIAサービスの起動」について一言説明しておきます。
PCカードを使うには,そのカードのDOS用ドライバをインストールすればいいかと思っていたのですが,それだけではないようです。それ以前に,PCカードコントローラ(ハードウェア)との間をとりもってくれるプログラムが必要なのでした。これがないと,OSがPCカードスロットを認識しないのでどんなカードも使えない,ということらしいです。
それのことを,ここでは便宜的にPCMCIAサービスと呼びました。
正確なことをお知りになりたい方は,高安延匡さんのサイトにある以下の解説をお読みください。私はこの解説のおかげで上記のようなことがわかりました。
このようなフロッピーを作るためには,次のような手順を踏む必要があります。
利用したのは,以下のものです。
Microsoft Workgroup Connection は,プロトコルとして NetBEUI しか使えません。MS-DOS用のLAN接続プログラムとしては,このほか,LAN Manager と Network Client for DOS というのが Microsoft から提供されていて,この2つは TCP/IP が使えるようです。しかし,どうも使い方がちょっと面倒くさそうだし,LAN Manager を使っている人も実用上はNetBEUIを使うことを推奨されています。だとすれば,Workgroup Connectionで十分でしょう。
自ノードを共有資源として提供できるかできないか(Workgroup Connection では,自分のほうからネットワークを見ることはできるが他のクライアントからこちらのファイルを利用したりすることはできない)という違いは残りますが,私にはあまり必要ありません。
この判断ができたのは,前田剛さんのサイトにある以下の解説のおかげです。
ともかくそういうわけで,今回作成するフロッピーでは,NetBEUI を使うことになります。
この作業を開始する前に,ネットワーク経由で利用しようとしているパソコンと NetBEUI による接続ができることを確認してください。
MS-DOS起動ディスクを用意します。
これには,大きく分けると2種類のアプローチがあります。
inadaさんのサイトにある「ブートディスクの作成 」では,A.の方法が紹介されています。
高安延匡さんのサイトにある「起動ディスク(DOS)でネットワークアクセス」の「ブートフロッピーディスクの作成」の項では,B.の方法が紹介されています。
私は,B.のバリエーションとして,Let's noteの「ファーストエイドFD作成」で作ったものを起動ディスクにしました。
その理由は,ファーストエイドFDに入ってくるEMM386.exeを利用したいからです。autoexec.batにはこのプログラムを起動するときのオプションの記述があり,意味がよくわからないのでそのまま利用したいわけです。
このプログラムは,起動するプログラムをハイメモリ領域へ読み込むものです。コンベンショナルメモリが少ないと,Windows98のネットワークインストールのときに不都合が生ずることもあるらしい(inadaさんのサイトにある「日本語ブートディスクの作成」参照)ので,これを使ってコンベンショナルメモリを確保しておきたいのです。
そういうわけで,以下に紹介する方法は,他の機種をお使いの方には役立ちません。inadaさんや高安さんの解説をお読みください。
MSDOS.SYS COMMAND.COM EMM386.EXE HIMEM.SYS IO.SYS JKEYB.SYS JKEYBRD.SYS XCOPY.EXE XCOPY32.EXE AUTOEXEC.BAT CONFIG.SYS
XCOPY32.MOD(XCOPYコマンドを実行するため必要) DELLTREE.EXE(作業が順調にいけば必要ないものですが,まあ一応) MEM.EXE
XCOPY32 MOD 53,248 98-06-12 20:01 XCOPY32.MOD COMMAND COM 118,164 98-06-12 20:01 COMMAND.COM DELTREE EXE 24,335 98-06-12 20:01 DELTREE.EXE AUTOEXEC BAT 7,548 98-05-14 18:32 AUTOEXEC.BAT CONFIG SYS 226 98-04-20 13:41 CONFIG.SYS MEM EXE 36,930 98-06-12 20:01 MEM.EXE EMM386 EXE 136,615 98-06-12 20:01 EMM386.EXE HIMEM SYS 36,647 98-06-12 20:01 HIMEM.SYS JKEYB SYS 22,503 98-06-12 20:01 JKEYB.SYS JKEYBRD SYS 1,494 98-06-12 20:01 JKEYBRD.SYS XCOPY EXE 3,958 98-06-12 20:01 xcopy.exe XCOPY32 EXE 3,958 98-06-12 20:01 xcopy32.exe 12 個 445,626 バイトのファイルがあります. 0 ディレクトリ 748,544 バイトの空きがあります.
@echo off prompt $P$G path =a:¥;
DEVICE=HIMEM.SYS DEVICE=EMM386.EXE X=C000-CFFF X=E000-E3FF NOEMS BUFFERS=20 FILES=60 DEVICE=JKEYB.SYS /106 JKEYBRD.SYS DOS=HIGH,UMB
この起動ディスクでは,日本語表示機能を削除してしまったので,これで起動すると日本語は使えません。ただしJKEYB.SYSとJKEYBRD.SYSを残しているので,日本語キーボードの配置をそのまま使えます。
日本語キーボードと英語キーボードでは,¥(円マーク)や :(コロン),*(アステリスク)などよく使う記号の配置が使うので,この2つのSYSファイルまで削除してしまうと,相当イライラすることになります。この起動ディスクでは,それは避けることができます。
ちなみにこの3つを,英語キーボード配置になっているときに日本語キーボードで入力するには,以下のキーを押します。
入力したい文字 | 押すキー |
---|---|
¥ (円マーク。ただし,英語表示になっていると \(バックスラッシュ)として表示) | 」(閉じるカギ括弧) |
: (コロン) | Shift(シフト) + ; (セミコロン) |
* (アステリスク) | Shift(シフト) + 8 |
起動ディスクに,PCMCIAサービスの起動機能を追加します。
PCMCIAサービスを起動するには2つの方法があるようです。
A.の方法を使うには,ノートパソコンの側がその機能をサポートしている(プログラムが付属している)ことが必要です。
B.のためには,使用するLANカードに合ったポイントイネーブラを入手する(LANカードに付属しているか,他のカードのものが手持ちのカードにも使える)ことが必要です。
私が利用したLPC2-Tには,ポイントイネーブラは付いていませんでした。しかし,Let's note(CF-S21)にはソケットサービスとカードサービスのプログラムが付いていました。IBMDSS01.SYSというのがソケットサービス,IBMDOSCS.SYS というのがカードサービスです。この2つは,CF-S21 の初期状態では C:¥Panaapp¥Cdboot¥PCCARD というフォルダにインストールされているはずです。
ノートパソコンが他の機種で,このどちらの方法も使えない場合には,諦めるしかないのだろうと思います。それでもやりたいならば,ポイントイネーブラが使えるLANカードを購入するしかないでしょう。PLANEX社のENW-3502-TやFNW-3700-Tなどであればポイントイネーブラが付いているようです。
マシンの機種,LANカードの種類ごとの作業手順については,inadaさんのサイトに次の記事があります。
DEVICEHIGH=A:¥PCCARD¥IBMDSS01.SYS DEVICEHIGH=A:¥PCCARD¥IBMDOSCS.SYS
起動ディスクに,LANに接続する機能(LANカードドライバおよびLAN接続プログラム)を追加します。
そのためには,LANカードドライバとLAN接続プログラムを入手する必要があります。
次のようにして,LANカードのドライバディスクを作成しました。
これで,ディスク内は次のようになりました。(すぐ上に書いたように NDIS2DOS フォルダは無意味なので,このフォルダの部分は無視して見てください)
A:¥ │ LANCHK.TXT │ LPC2.SYS │ LPC982.COM │ LPC982.INS │ LPCAT2.COM │ LPCAT2.INS │ NETLPC2.INF │ NETWARE.TXT │ PCMCIA.TXT │ README.TXT │ VER132.TXT │ WIN95.TXT │ WIN98.TXT │ WINCE.TXT │ WINNT351.TXT │ WINNT40.TXT │ ├─DOS │ │ LANMAN.TXT │ │ │ ├─NDIS2DOS │ │ PROTOCOL.INI │ │ LPCA2.NIF │ │ LPCA2.SIS │ │ LPCA2.DOS │ │ oemsetup.inf │ │ │ └─MSLANMAN.DOS │ └─DRIVERS │ ├─NIF │ │ LPC92.NIF │ │ LPCA2.NIF │ │ │ └─ETHERNET │ ├─LPCA2 │ │ PROTOCOL.INI │ │ LPCA2.SIS │ │ LPCA2.DOS │ │ │ └─LPC92 │ PROTOCOL.INI │ LPC92.SIS │ LPC92.DOS │ └─WINNT LPC2.DLL LPC2.SYS OEMSETUP.INF
使っているLANカードがMS-DOSに対応していなければ,そのカードを使うのは諦めて,対応しているLANカードを購入するしかありません。私も,この作業の開始前まではCorega Ethernet PCC-Tを使っていたのですが,これはMS-DOSに対応していなかったのでLPC2-Tを購入したのです。
Yahoo!オークションで2002年7月13日に落札しました。代金770円,送料(定形外郵便)140円,送金手数料130円で合計1,040円でした。小売店で買っても,今なら1,980円くらいです(2002年7月15日ビックピーカン池袋本店調べ)。
このカードについては,カタログにもメーカーのサイトのFAQにも「LANマネージャは使えません」と書いてあります。 Workgroup Connectionも LAN Manager も同じLANカードドライバを使いますので,LAN Manager が使えないということは Workgroup Connectionが使えないということになります。にもかかわらず サイトでは LAN Manager 用のドライバが提供されており,このドライバで Workgroup Connectionが使えました。おそらくLAN Manager も使えるはずです(なんといっても,LAN Manager 用のドライバなのですから)。
「使えません」と明記してあるのがなぜなのかは謎です。
Microsoft Workgroup Connection は ftp://ftp.microsoft.com/softlib/mslfiles/mswgcn.exeからダウンロードして解凍しました。
フロッピーに入れ,フロッピーには 「Microsoft Workgroup Connection Disk」 というラベルを貼ります。
では,いよいよ肝心のところに入ってゆきます。
No driver was found in the specified location (path)
[network.setup] version=0x3100 netcard=lpca2,1,LPCA2 transport=ms$netbeui,MS$NETBEUI lana0=lpca2,1,ms$netbeui [protman] DriverName=PROTMAN$ PRIORITY=MS$NETBEUI [LPCA2] DriverName=LPCA2$ IOBASE=0x300 INTERRUPT=3 [MS$NETBEUI] DriverName=netbeui$ SESSIONS=6 NCBS=12 BINDINGS=LPCA2 LANABASE=0
DEVICE=HIMEM.SYS DEVICE=EMM386.EXE X=C000-CFFF X=E000-E3FF NOEMS BUFFERS=20 FILES=60 DEVICE=JKEYB.SYS /106 JKEYBRD.SYS DOS=HIGH,UMB DEVICEHIGH=A:\IBMDSS01.SYS DEVICEHIGH=A:\IBMDOSCS.SYS devicehigh=C:\MSWC\protman.dos /i:C:\MSWC devicehigh=C:\MSWC\workgrp.sys devicehigh=C:\MSWC\lpca2.dos LASTDRIVE=Z
The command completed successfully.
Memory Type Total Used Free ---------------- -------- -------- -------- Conventional 640K 76K 564K Upper 107K 100K 6K Reserved 0K 0K 0K Extended (XMS) 97,109K 337K 96,772K ---------------- -------- -------- -------- Total memory 97,856K 514K 97,342K Total under 1 MB 747K 176K 570K Largest executable program size 564K (577,472 bytes) Largest free upper memory block 6K (6,160 bytes) MS-DOS is resident in the high memory area.
Memory Type Total Used Free ---------------- -------- -------- -------- Conventional 639K 170K 469K Upper 0K 0K 0K Reserved 0K 0K 0K Extended (XMS) 97,216K 64K 97,152K ---------------- -------- -------- -------- Total memory 97,855K 234K 97,621K Total under 1 MB 639K 170K 469K Largest executable program size 469K (479,776 bytes) Largest free upper memory block 0K (0 bytes) MS-DOS is resident in the high memory area.
ハードディスクからフロッピーに必要ファイルをコピーし,若干のファイルの中身を修正すれば,それ1枚で自動的にネットワーク接続までやってくれる起動フロッピーの出来上がりです。
[network] computername=DOS_LETS lanroot=A:¥MSWC autostart=basic dospophotkey=N username=DOS_LETS workgroup=WORKGROUP reconnect=yes [Password Lists] DOS_LETS=A:¥MSWC¥DOS_LETS.PWL
DEVICE=HIMEM.SYS DEVICE=EMM386.EXE X=C000-CFFF X=E000-E3FF NOEMS BUFFERS=20 FILES=60 DEVICE=JKEYB.SYS /106 JKEYBRD.SYS DOS=HIGH,UMB DEVICEHIGH=A:¥PCCARD¥IBMDSS01.SYS DEVICEHIGH=A:¥PCCARD¥IBMDOSCS.SYS devicehigh=A:¥MSWC¥protman.dos /i:A:¥MSWC devicehigh=A:¥MSWC¥workgrp.sys devicehigh=A:¥MSWC¥lpca2.dos LASTDRIVE=Z
a:¥mswc¥net start @echo off prompt $P$G path =a:¥mswc;a:¥;
1998/06/12 20:01 53,248 XCOPY32.MOD 1998/06/12 20:01 118,164 COMMAND.COM 1998/06/12 20:01 24,335 DELTREE.EXE 2002/07/20 01:41 208 CONFIG.001 2002/07/20 02:12 <DIR> MSWC 1998/06/12 20:01 36,930 MEM.EXE 2002/07/20 01:18 <DIR> PCCARD 2002/07/20 01:41 36 AUTOEXEC.001 2002/07/20 02:28 326 CONFIG.SYS 1998/06/12 20:01 136,615 EMM386.EXE 1998/06/12 20:01 36,647 HIMEM.SYS 2002/07/20 02:31 63 AUTOEXEC.BAT 1998/06/12 20:01 22,503 JKEYB.SYS 1998/06/12 20:01 1,494 JKEYBRD.SYS 1998/06/12 20:01 3,958 xcopy.exe 1998/06/12 20:01 3,958 xcopy32.exe 14 個のファイル 438,485 バイト 2 個のディレクトリ 67,072 バイトの空き領域
つづいて,起動フロッピーでLAN接続してWindowsをインストールする作業をおこないます。